広がるベトナムでの日本食需要 日本食人気は天井知らず


日本食が2013年に無形文化遺産に登録されて以来、日本食への関心と共に日本の食材への注目が年々高まっているのはご存知でしょうか。

今や海外進出している和食店の数が3倍にも伸びています。

普段の食卓に並ぶようなスイーツ、美容や健康に良い食品にも人気が高まっており、贈答用にもピッタリな高級感を演出することも可能です。

これもすべて、日本の食材の信頼度・実績のおかげかもしれませんね。


特にベトナム市場は更なる飛躍が期待できるエリアです。

本記事では、日本食人気の高まりとベトナム市場におけるこれからのチャンスを見ていきましょう。

10年連続過去最高を更新している日本酒の輸出総額

2018年には約222億円だった日本酒の輸出総額は、2019年には5.3%増の約234億円となっています(日本酒造組合中央会)。


昔は劣化した日本酒が流通するなどで、日本酒に対して悪評があったこともありますが、現在はフランス料理との相性が良い事でも知られております。

実際に、ミシュラン星を多数獲得していた故ロブション氏も日本酒が大好きでした。


日本酒だけでなく、日本食文化は世界の多くに取り入れられて人気を博しています。

実は近隣の国であるベトナムでも日本食は大人気です。


本来ならもっとたくさんの食材や料理を知ってもらい、もっと美味しい物をお届けしたいところです。

現状でも、ベトナムは質の良い日本食文化を求めていて、その需要は演出しだいではもう無限の可能性を秘めているといえます。

日本酒の他に人気の食材は?

日本酒が人気を博している国の筆頭はアメリカです。

一方でアジアでも需要がかなり大きく、年々伸び率が大きくなっているのがベトナム、シンガポール、タイなど、東南アジア諸国です。


多民族国家という背景もあり、日本酒需要と共に日本食やその食材を求める声が一段と大きくなっています。

ベトナムではより多くの日本食材が求められています。


例えば、ベトナムは美容に対する意識が大きく「海ブドウ」などはセレブ層などにも人気があります。

シャキシャキした歯ごたえと、魚卵のような味わい。しかもコレステロールは控えめでアンチエイジングや美肌効果が期待されています。


他にも、饅頭などの和菓子やビタミン豊富な抹茶、ほぐした鮭缶やエビ・海藻などの海鮮、ラーメンやカレーライス、黒ニンニクや黒酢など、多岐にわたります。

日本食文化が海外で人気になった理由と評価の点


「日本酒が世界的人気に!」と言われている背景は2013年の日本食がユネスコ世界無形文化財に指定されたことが大きいでしょう。

それまで日本食は美味しくてヘルシー・健康というイメージではありましたが、世界的なアピールになったのは文化財指定でした。


日本食レストランもこれに乗じて3倍の店舗数になりました。

日本酒の質に対しての海外の反応も、昔と随分変化しました。


海外のイベントや展示会などへ積極的に参加し、品質管理をアピールし、日本酒ソムリエの育成も行っています。

こうした努力により、オリエンタルなイメージだけでなく、本当に日本酒を理解する人たちが徐々に増えてきています。


同じく他の人気の食材も、もっとアピールできる機会は作っていかなければなりません。

他の人気の食材も、素材として輸出するだけでなく、美味しさと一緒にベトナムをはじめ多くの日本食が好まれている国々へ送ってあげることができたら素敵ではないでしょうか。


そして、それがベトナムの若者の間などで「最初からベトナムにあったものじゃないのか?」と思わせてしまうくらい定着していくでしょう。

外国人に日本酒を勧めた人と、これからの日本食材のプレゼンテーション


外国人は旅行などで来日の際には、日本酒を口にするチャンスがあるようです。

日本に来る外国人は本物志向でリテラシーが高い傾向にあるのかもしれません。

「この日本酒はどういった材料と製法でこのような味にしているのか」


このような疑問に対して、ある程度のプレゼンテーションができると、より日本酒を勧めやすいでしょう。

実は海外では、人気の日本食を手に入れても、どうやって調理してよいか、どうやったらもっと美味しく食べられるのかが今一つ分かっていないところがあるようです。


そこで、和食店と共にもっと美味しい日本の食材をアピールできると、お店も素材も繁栄するでしょう。

例えば、輸出量が増加している抹茶はビタミンが多く、ベトナムの暑い夏によく飲まれます。日本のようにストレートで飲むというより、アレンジして飲むことが多いようです。


そこにもっとこんな美味しい飲み方や、抹茶の使い方があることをプレゼンできたら最高です。

国や地域に合わせて


外国人に本格的に勧めるといっても、やはり最初は何が良いか迷うところです。

そこで、外国人という一括りにせず、国や地域に合せた勧め方を考えてみます。

のどごし、口当たりが爽やかなライトビールを好む人が多い国や地域には、日本酒もまずは軽快な口当たりの良いところからお勧めします。

同じように、ベトナムの気候などに合わせた美味しさと勧め方を各食材にスポットをあててみましょう。

ベトナムで人気の抹茶は、暑い夏にアレンジして飲むだけでなく、冷たいゼリーや顔のパックにしたりなど、フル活用しています。

新鮮な抹茶は美容・痩身・健康などに良いと何にでも取り入れようとしているのです。

意外なところでは鮭ほぐし缶も売れていて、サケフレーク状にしてマヨネーズとアボカドを海苔で巻くととても美味しいです。

また、その具をそのままバインミー(フランスパンを使ったベトナムのサンドイッチ)として野菜と共に挟んでも美味しいものです。

さらにその具が缶詰を使った手軽に作れるものならば、ベトナムの主婦は大助かりですね。

料理とのマリアージュは多彩


世界的に人気のある日本酒の、海外の料理とのマリアージュは、意外と難しくありません。


日本酒とのマリアージュのコツは・・・

・日本酒と料理の味の深みを合せる(料理の素材の味わいを損なわない)

・料理との温度を合わせる

・触感(口あたり、舌触りなど)を合せる

・風味(海外でよく使われるハーブやスパイスとの兼ね合い)

この点は日本酒だけでなく、他の食材や料理にも当てはまります。

日本の料理そのままを「美味しい食べ方」として運んでいくのではなく、ベトナムの人々に違和感なく溶け込めるコツがあるのです。

日清のカップヌードルは世界的なヒットになり色々な味が開発されました。

しかし「だいたい同じようなもの」と思っていたら大間違いで、インドのカレーラーメンヌードルは、蓋を開けると折り畳みのフォークが入っていたり、お湯は随分少ない設定になっていたりと当地で食べやすいよう工夫がされています。


一方で、そのまま受け入れられているものも多数あります。

水信玄餅などは、金精軒さんで夏限定で販売されているものですが、これがベトナムの夏に大人気を博しました。


日本の若者がタピオカドリンクに夢中だったように、水信玄餅もベトナムの若者に受け入れられていったのです。

コラボ企画や希少性を打ち出してアピール


日本で販売しているそのままを輸出しても、数ある食品類の中で海の中の一滴のしずくになってしまいがちです。

そこで、注目してもらいやすいコラボ企画や、生活や贈答用に使えるようアレンジをしての輸出は食品や店舗銘柄をより際立たせてくれます。

海外限定品として売り出したりすると、日本国内でも希少性が高まり「海外限定品を欲しいのだが・・」という需要も考えられるでしょう。

食材+食材のコラボで相乗効果を狙う


料理やお菓子は、食材単品だけでなく、色々な食材が集まってさらに美味しく加工されていきます。

例えば日本酒であれば、チョコやチーズテイストとよく合うので、日本・海外の菓子メーカーとのコラボなどでより知名度や味を人に馴染みやすくしていきます。

より商品を手に取りやすくしていくのです。

ベトナムでは和菓子や饅頭、抹茶を使ったスイーツやお菓子が好まれています。

特に抹茶はベトナム人気の生チョコにアレンジしてみたり、チョコ大福などに入れてみるなどして老若男女に受け入れられやすくなっています。

ベトナム料理にはお酢は欠かせない大切な調味料なので、ベトナムの家庭ではお酢を自家製で作ったりします。

もちろん昔からのベトナム市場にもお酢は売られていますが,化学調味料などが入っていることが多く敬遠されがちです。

健康を重視するベトナムでは日本産の黒酢などは信用あるブランド酢なのです。

料理、そして健康やダイエット用の酢としても重宝されています。

食材と食材を組み合わせての相乗効果や、食事以外の複数の使い方としての効果は無限の可能性を引き出していける楽しみが湧いてきます。

器をアレンジして「和」と特別感を


日本人にとって「器」とは食を演出する大切なアイテムです。

ところが、その価値観をそのまま世界に向かって発信しても、同じ価値観で食卓に上るとは限りません。

そこで、例としてワインにデキャンタがあるように、日本酒も瓶だけでなく徳利や御猪口といった器ごとテーブルに置けたら素敵ではないでしょうか。

もちろん徳利は海外仕様に工夫のしどころです。

ベトナムでは屋台でも販売しやすく食べやすい器にしてみたり、逆に贈答用に高級感を出してアレンジしてみるのも違う市場を獲得できるでしょう。
食卓で使う器を元にする場合は、ベトナムは日本のテーブルマナーとはちょっと違ったところもあるので、違いを加味しながらアイデアを出していくのも楽しみな企画です。

ベトナムの人気料理や食材


ベトナムのサンドイッチである「バインミー」は最近日本でも人気が出ています。

フランスパンに野菜やパテなどを挟んだサンドイッチですが、フランスやイタリアなどとはちょっと違います。

バケットにはなんと米粉が入ってモチモチの食感。さすが米文化のベトナム。

日本も米粉を使ったパンなどを作ってますし、さらに具も日本でおなじみの「なます」が入っていたりと親近感がわきます。

ベトナムのバインミー人気店は「バインミー・フォン」で世界一おいしいと言われています。

ベトナムのホイアンで食べられる「カオラウ」は伊勢うどんがルーツといわれている麺料理。

ホイアンの石灰分が多い水で作っているのでコシがあるのだとか。

ベトナム市街ではカフェも多いですね。オーガニックのものは、健康重視のベトナム人にとって人気があります。

もちろん日本人の観光客にもそういったカフェが人気です。

意外な人気はお菓子。ベトナム人はお菓子大好きで、特にチョコはお土産にも喜ばれています。

特に高級志向でなくても、ブラックサンダーなどの100円くらいのチョコでも大好き。

日本ではもうあまり見られなくなった街中の駄菓子屋さんがベトナムにあるというのが懐かしい感じがします。

ちょっと違ってちょっと似ていて親近感が増すベトナム。

「こんな美味しい物はいかがですか?」と進出していきたくなります。

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